最近、「夫や妻の不倫相手も既婚者で、慰謝料請求できなくてつらい、不倫をやめてくれない」という相談が増えています。同じ状況の方がどうしているか、これからどんなことが考えられるかご紹介します。
夫や妻の不倫相手が既婚者だとなにもできない!?
不倫相手に慰謝料請求できることはご存知だと思います。ただ、不倫相手が既婚者、つまりダブル不倫の場合、慰謝料請求しても、相手の配偶者からも慰謝料請求される可能性があり、結局、慰謝料請求できない(しない)ことがあります。
もちろん、相手が既婚者であっても、まだ相手の配偶者が不倫を知らない場合は素直に慰謝料を払うケースも多々あります。しかし、当事者4人が不倫を知っていて、互いに離婚しない場合、お互いに請求しても意味がないのでなにもしないと思います。
このためダブル不倫だから慰謝料請求を諦めた、という方はたくさんいます。ただ、お金はそれほど重要ではありません。ムカつきますが、ある程度は理解できます。
問題は不倫が終わらない、不倫した側が反省しない、不倫した側が既婚者となら不倫しても大丈夫と思いそう、という問題です。
なにより、不倫された側が泣き寝入りしかできず再構築が難しくなるという点です。
たぶん大丈夫、は信用しない
専門家の中には相手が既婚者でもどんどん慰謝料請求しましょう、という方もいます。相手は絶対に配偶者に浮気がバレたくないので、たぶん素直に払いますよ、と。
確かに、経営者の男性などはそうした傾向もあります。ただ、もしその予想が外れて、相手が配偶者に不倫を告白し、離婚することになった場合、相手の配偶者から高額な慰謝料が請求される可能性があります。どうしても離婚する夫婦と離婚しない夫婦では、慰謝料の金額に差があります。こうなると、こちらの夫婦も離婚する可能性が増えます。
もしダブル不倫で慰謝料請求するのであれば、相手を追い詰めずに穏便な方法で請求するか、相手からも慰謝料請求される覚悟を決めてからがおすすめです。
慰謝料請求できないから、不倫も終わらない
こうしたケースで最も懸念されるのが、不倫が終わらない、別れないという可能です。実際に相手が独身で慰謝料請求した場合に比べて、かなりの割合で不倫が繰り返されます。
この場合は特に既婚女性側が別れない傾向が強いと感じます。
例えば、独身女性であれば、わざわざ既婚の男性に執着しなくても、次は独身男性と交際すれば良いだけです。もしくは、他の既婚男性と不倫でもいいかもしれません。
しかし、既婚の女性の場合、そもそもが不倫になるので選択肢が限られる上、女性は体よりも心を重視するので別れにくい傾向があります。好きになってしまった、という理由です。1年、2年越しに2回目の発覚、ということも珍しくありません。どんだけ好きなんだと思います。
ちなみに既婚男性側でこの不倫相手と別れたくない、という場合は、そもそも逆ギレして離婚したいと言い出すことが多いです。もちろん土下座して謝ったのにまた同じ女性と不倫する男性もいます。
誓約書を書かせても意味がない、反省しない
例えば不倫相手が独身であれば、慰謝料を払ってもらい、二度と主人や妻と不倫しない、連絡しない、違反した場合は違約金を支払う、という示談書や誓約書を作成します。もちろん、違反すれば違約金を請求できますし、普通は二度と不倫しません。
しかし、ダブル不倫の場合、慰謝料と同様に違約金についてもお互い様になってしまうので結局請求できません。違約金付きの書類にサインしても、お互いが離婚しない限りあまり意味はありません。
また不倫しても大丈夫だと思われる?
離婚しない限り、何度不倫しても慰謝料は払わなくていい、という状態となります。このため、別れない、また同じ人と不倫する、という傾向が強くなります。
いくら次は離婚する、と言っても無駄です。今度はバレないようにLINEではなくFacebookやTwitter、ゲームアプリで連絡するなど当たり前です。SNSではなく、クラウドのメモ帳アプリに同じアカウントでログインしてやりとりする、ということもありました。※書いた側も消せるため
同じ人と不倫された場合、別の相手と不倫されるよりも離婚したくなります。別の相手であれば遊びというか、そういう性格なんだとも思えますが、同じ相手であればその相手が大好きなんだと考えてしまいます。
不倫された方は泣き寝入り?
結局、専門家に相談しても「離婚しないなら諦めなさい」と言われるだけで、泣き寝入り状態になってしまうことがあります。夫婦で別々にお金を管理している場合などは気にせず慰謝料請求することもありますが、あまり現実的ではありません。
珍しい対応策
こうした相談はよくありますが、本当に難しいと感じます。ただ、珍しい方法で対応された方もいます。
ご主人の親に相手からの慰謝料を払ってもらう
ダブル不倫で慰謝料請求しにくいのは、相手からも慰謝料を請求される可能性があるからです。
このため、不倫相手の旦那様から自分の夫に慰謝料請求されたら、その慰謝料は夫、つまり家計からではなく、夫の親が代わりに支払う、という約束をした方がいました。ご自身はなにも気にせず慰謝料請求し、相手の旦那様にもどうぞうちの夫に慰謝料請求してください、と。ご主人の親からすれば大変迷惑な話ですが、ご主人も相当に身にしみたようです。いい歳して、こんなにも親に迷惑をかけたのですから。もちろん、また不倫した場合は何度でも慰謝料を相手に請求し、相手からの請求されれば主人の親に払ってもらいます、と約束しました。よほど親不孝でなければ、また同じ人と不倫はしないと思います。
ただご主人の親は本来、まったく関係ありません。息子の代わりに慰謝料を払う義務はありません。このケースはご主人の母親が離婚して欲しくない、ということもあり、こうなったようです。
不倫相手と契約書を交わす
ダブル不倫で4人とも知っている場合、ぐだぐたな中途半端な状態のまま、ということがとても多いと感じます。やはりこうした状態の場合、再び不倫しやすくなります。
そこで、不倫相手と「また不倫したら違約金○○万円を支払う」という契約書を作成することがあります。ポイントは、自分の配偶者ではなく、不倫相手と契約することです。夫婦間の契約は無効(民法754条)になってしまう可能性が高いので、他人である不倫相手と書類を取り交わします。もちろん、同様の内容を相手側夫婦からも求められるでしょう。
再びこの相手と不倫することは非常にリスクが高い、をいう状況を作ることが大切です。ただ注意も必要なので、専門家に相談した上で作成してください。
夫婦間の誓約書作ろう
結局、最も本質的なことは、ご自身の配偶者が心から反省し、二度と相手を問わず浮気しないことです。そのためには、浮気どうこうではなく、これから二人がどういう夫婦を目指すのか、どうしたら再構築できるかを考えることです。そのためには、夫婦間の誓約書がおすすめです。
詳しくは「離婚しないための誓約書」をご覧ください。